●ニンジン栽培 ニンジンの種類と育て方

ニンジン(セリ科)
原産地 : アフガニスタン、西トルコ

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ニンジンの収穫


ニンジンには短根の西洋種と長根の東洋種があり、栽培や流通の便利な西洋種では品種改良が進み多くの品種が栽培されています。カロチンの量は一般的には東洋系のものよりは西洋系のほうが多く含み、西洋系の中でも品種による違いが大きいようです。西洋系も品種で色が大分違うので、好みのニンジンを選んで育ててください。


東洋種では金時人参(京ニンジン)がニンジン特有の臭さがなく、日本料理に利用されています。
沖縄で栽培されている黄色い島ニンジンも暑さに強く長さは30†40cmくらいで東洋種です。
15年前(2009年現在で)、沖縄旅行で初めて黄色い島ニンジンを見て珍しくてお土産にした思い出があります。
金時人参や島ニンジンを作る場合のポイントは根が長く地中に入るので畑を深く耕します。


根の長さによっても三寸ニンジン、四寸ニンジン、五寸ニンジン、大長ニンジンなどに分けられます。
コンテナ栽培ではピッコロ、ミニキャロット、スイートキャロット、ワンディッシュなどの ミニニンジンが栽培しやすいです。


そのほかのニンジン
葉ニンジンを利用する種類。
国分大長ニンジン
 長さ60 †70cmになる東洋種と西洋種の交配でできた。
鮮紅長ニンジン
紫ニンジン 
・パープルスティック
 外側が紫色、中心部はオレンジ色のニンジン。紫色の部分はアントシアニンを多く含んでいます。
 甘みが強く(糖度10度程度)、ビタミンCも多く含んでいます。
 我が家でも今年(2009年)の夏、このパープルスティックの種をまいてみました。
・パープルパープル 
 黒にんじんといっていいほど外側も中身も黒に近い紫。


金時人参(キントキニンジン)は西洋にんじんと比べるとまっ赤で、長さは30cm前後です。
ニンジンといえばカロチンが含まれていますが、金時人参の赤い色はトマトと同じリコピンによるものです。
金時人参は関西や香川が主産地ということですが、このあたりでも少しですが栽培されていて、直売所などで見かけます。種も通販やホームセンターなどにあり珍しくはなくなってきました。
近所で栽培した金時人参(キントキニンジン)と我が家の五寸ニンジン。

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 我が家のニンジンの育て方
◆畑の準備
どのタイプのニンジンも同じように育てますが、五寸ニンジンより長根の場合は深く耕します。
有機質に富む土壌が最適ですが、種をまく直前に未熟な堆肥は入れないでください。私は自前のぼかし肥料をタップリ入れたジャガイモの後作にニンジンを作るので、苦土石灰を入れて耕転しました。
堆肥が入っていない前作の後には早めに(3ヶ月†遅くても1ヶ月前までに)堆肥をたっぷり入れておき、2週間前までに苦土石灰を1†当たり100†150gを散布し、よく耕しておきます。
その際固いものなど異物があれば取り除いておきます。それらがニンジンの発芽障害やまた根の原因になるからです。ニンジンは土の中に入りながら育つものですから、短根でも葉菜よりやや深めに耕やします。


1週間†3日前には1†あたり化成肥料50g(1にぎり)をばらまき、再びよく耕し混ぜておきます。そのとき細かく土みたいになったぼかし肥料を蒔く列に再び少々入れて耕しました。
ニンジンは連作しても害の少ないものですが、2†3年間ぐらいにします。化成肥料を最初は入れないで後の追肥を主体するやり方もあります。


◆種まき
畝幅は1条まきで40cmくらいにしました。2条まきならで60cmくらいにて条間を30cmぐらいにします。
高さはやや高くする程度でいいと思います。


ニンジンの種まき時期は住んでいる地方や ニンジンの種類により加減してまきます。
中間地基準でおよそこのようになります。
●春まき・3月下旬前後(3月中旬†4月上旬)・・・・・収穫・5月†7月
 生育期間が短い三寸系や四寸系の早生種か中生種やミニニンジンがよい。


●初夏蒔き・6月中旬†7月上旬・・・・ 収穫・9月中旬†11月初旬 


●夏まき・7月中旬†8月中旬・・・・   収穫・11月†3月
 ※ニンジンは一般的には、この夏の時期にまく。
冷涼な気候を好み18†20℃でよく育つニンジンは生長してからは暑さに弱いので、夏まきは幼苗期に夏を過ごさせて、秋に生育適温になるように育て、秋から冬に収穫をするようにするとうまくいきます。
幼苗(本葉3†5枚)のころに10℃以下の気温になると花芽ができ、春の高温日長でとう立ちしてしまうので、露地では秋遅くはまきません。
夏まきのニンジンは暑さに強く生育期間が長い五寸種や長根系が適しています。
・向陽二号、夏蒔鮮紅五寸、陽明五寸、恋ごころ(黒田系)、時無し五寸(アーリー・チャンテネー)、
 ベータリッチ、べにかなで、紅あかり、金美(きんび)など多数


夏まきのニンジンはとにかく発芽をそろえて、初期の生育が順調にいくようにすることが大事です。
まき溝はクワ幅くらいに底面が平らになるように作り、乾いていたらジョウロで溝全面にたっぷりかん水してから種をまきます。
乾燥させないように水やりをするがニンジンを育てるポイントなので、溝から水がはみ出さないようにと水がしみるように底面がまわりより低く平らになるようにします。激しい雨が降ったとき、溝の高低差があると種が低いほうに流れてしまいます。

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種まきは1†2†間隔のすじまきに行います
種をまいたら、鍬や板あるいは足で踏んで鎮圧するのですが、そのあと土を薄くかけてやります。ニンジンは好光性種子なので、覆土は薄くし、その上に細かい腐葉土や藁(わら)で薄く覆い、乾燥や降雨から種子を守ってやります。今回はモミガラクン炭があったのでそれを使いました。

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べたがけ資材(不織布)を利用すると乾燥を防ぐので発芽しやすくなり、葉が茂ってからもキアゲハチョウなどの幼虫を防げます。また乾燥しても雨風は通すため、べたがけ資材の上から水やりや液肥を施すことができます。


◆間引き・追肥・土寄せ
本葉3†4枚になったら、育ちの悪い苗を間引き4†5cm間隔に間引きをします。
1回目の間引きが終わったら、条間に化成肥料70†80g/m2を追肥して土寄せします。


さらに本葉6†7枚の時に8†10cm間隔に間引きします。
間引き後、化成肥料を1†当たり40†50g程度施してニンジンの株元がかくれる程度に土寄せします。
2回目の間引きが終わったら、化成肥料70†80g/m2を蒔きます。

ニンジンは発芽後の初期の育ちが緩やかなので、草の生長に負けてしまいます。
除草をまめにしましょう。

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◆水やり
間引き時まで、土壌水分が少ないときは水やりをします。
2009年は旧のお盆ごろまで雨が降っていたので、タネ播きのときに水やりをしただけで、あとはしませんでした。発芽もよく揃いました。

◆病害虫
家庭菜園ではコンパニオンプランツを積極的に取り入れましょう。
土壌センチュウ対策にはマリーゴールド、キンレイカ、ハツカ、イネ科、除虫菊、ネギ類(ラッキョウ、ニンニク、アサツキ)などを間作、混作するといいでしょう。
黒葉枯病、黒斑病は適した殺菌剤で対処します。
我が家ではニンジン栽培ではキアゲハの幼虫だけの対策だけで他は何もしていません。
前はキアゲハの幼虫を抹殺していましたが、べた掛け資材を利用するようになって虫の心配がない分、気が楽になりました。
べた掛け資材のほかアブラムシ類は光るものや牛乳を薄めたもの、トウガラシ、ニンニクをアルコールで薄めたり、木酢液などを利用して予防します。


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◆収穫
ニンジンは通常種まきから約110†120日ごろに収穫になります。
根の太り具合をを見て太い順に収穫します。肥大しすぎては根が割れてしまうので、適期で収穫し、晩秋†冬はそのまま土の中に埋めて貯蔵します。


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2009年には我が家ではまだ珍しい紫ニンジンの パープルスティックを作りました。
種の袋の写真でも分かるようにブルーベリーやワイン以上にポリフェノールがたくさん含まれているみたいです。(後述を参考にしてください)
通常のニンジンの約10倍の甘さとのことでスイカ並みだそうです。
播種後120日前後、根部約20cmで収穫できるとのことです。
7/28に1袋分播種したので10月下旬には収穫になる予定です。


紫ニンジンの「パープルスティック」とミニニンジンの「ピッコロ」の種

紫ニンジンの「パープルスティック」とミニニンジンの「ピッコロ」の種<br />
 3-16


種まきは7/28 で、8/5に発芽しているのを発見。
少しの場所なので乾かないように気を配り、ジョウロで水やりをしていました。
芽が出たのでその両側に溝を掘り、ぼかし肥料を適当に入れてみました。
あとはふつうのニンジンと同じように育ててみます。
初めての野菜や花は育てるのが大変楽しみです。生きがいの一つかな ('')♪ルン
紫ニンジンの「パープルスティック」の発芽 8-6

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紫ニンジンの「パープルスティック」 8-23
初期はゆっくりした育ち具合

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紫ニンジンの「パープルスティック」の育ち具合 10-10

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紫ニンジンの「パープルスティック」 の育ち具合 10-10

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74日目で15cmぐらい育った紫ニンジンの「パープルスティック」 10-10
まだこの段階では分かりませんが、色が薄いようなので多分肥料が足らないかもしれないし、若いからかもしれない?

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●着色が悪い原因  
カロチンの生成温度は生育適温よりやや低い16†20℃で、12℃以下の低温では着色がが悪くなるとのこと。また25℃以上になるとカロチンの生成が阻害されるため色ぼけとなるそうです。

土壌水分は多湿状態よりも乾燥気味のほうがカロチン含量は多くなり、根の肥大が良好でカロチン含量も多くなるには、70%内外の土壌水分が最適だそうです。
燐酸(りんさん)の過剰な施肥は色を淡くし、窒素や加里の不足は着色不良となる傾向です。


紫ニンジン「パープルスティック」を横の断面 11-21

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紫ニンジン「パープルスティック」を縦の断面
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紫ニンジンの「パープルスティック」の漬物。1日目ですが美味しく食べられます。
(少量の酢を入れました) 
11-27

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3日経って赤く染まった紫ニンジンの「パープルスティック」の漬物 11-30
白いカブがこんなに赤く染まるとはかなり色素(アントシアニン)が多いのですね。

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畑に残しておいた紫ニンジンの「パープルスティック」は年を越して2月初めに掘り起こしステックに切り食べてみたら、さらに甘くなってとても美味しかったですよ。あまりの甘さに感激! 寒さに合わせたからだと思います。
本当は暮れに掘り起こして畑に埋めておいたほうがよかったのかもしれませんが、少しだからそのままにしておきました。でもぜんぜん問題なしでした。


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ミニニンジンのコンテナ栽培
ミニニンジンは生育期間が80†90日前後と短く、太さ2cm、根の長さも12cm程度なのでコンテナ栽培ができます。甘くて味がよく生食向きです。
ミニニンジンはプランター栽培に最適の極早生種で、真冬を除きほとんど周年種まきできます。


ミニでも根菜なので葉菜より根が長くなるので深さのあるコンテナを用意します。 
18cm以上の深さの容器が理想的です。
虫よけネットやべたがけ資材を使うとキアゲハに卵を産みつかれずにすみます。


鉢底石(薄く)を入れてから野菜専用(根菜用)の土を入れ、元肥が含まれていればそのままで横に2本の溝を指か棒などで作ります。含まれていない場合は有機質肥料を混ぜておきます。
溝と溝の距離は10†15cmあけます。
そこへミニニンジンの種を1†2cm間隔で筋まきにします。種を軽く押さえて落ち着かせ、軽く土を被せます。
乾かさないように管理すれば1週間†10日で発芽してきます。


隣同士の葉がふれあい込み合ってきたら、か細い株を間引きます。ミニなので最終的に株と株の間が5†6cmもあればいいでしょう。
2回目の間引後、粒状の化成肥料コンテナ全体で20g程度か根菜用の液体肥料を規定に薄めて施します。
間引いた苗も食べられますので、かき揚げや汁ものなどに利用できます。
根の直径が1.5†2cmくらいになったら収穫できます。


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 ニンジンの栄養・効用

ニンジンにはカロチン、ビタミンA、カリウム、食物繊維、カルシウムや鉄分、リンなども豊富に含まれています。
ニンジンの葉にはなんとビタミンAは根の2倍以上、タンパク質は根の3倍、カルシウムは根の5倍というからおどろきです。


ニンジンのβ-カロチンは皮の近くに多く含まれるので、できるだけ薄くむくとかタワシでこするとかして利用したいものです。
ニンジンにはアスコルビナーゼという酵素が含まれ、ビタミンCを壊してしまいます。
アスコルビナーゼは加熱や酸に弱いので、サラダに利用するときは酸を含むドレッシングを加えたり、 加熱してからビタミンCの多い素材と混ぜるとよいでしょう。


「パープルスティック」に含まれるアントシアニンはポリフェノールの一種で青紫色の色素です。
他にはワインの原料であるブドウ、ブルーベリー、紫芋、あずき、赤じそ、などに含まれています。


アントシアニンには生活習慣病の予防効果、疲れ目を予防・改善する働き、肝臓の機能を回復させる働き、老化防止の効果があるようです。

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